大腿ヘルニアの症状と治療

3つのヘルニアは、すべて同じように見えます

 

鼠径部の腫瘤(しゅりゅう=はれ・こぶ)がしょうじたとき、まず「外鼠径ヘルニア」なのか「内鼠径ヘルニア」なのか、あるいは「大腿ヘルニア」かを見きわめるのが医師の仕事です。

 

「大腿ヘルニア」は鼠径靱帯の下を通って大腿輪(大腿動静脈と大腿神経が出てくる穴)を出口にしてくるため、ヘルニアが鼠径靱帯よりもわずかに下方(末梢側)にあります。

 

また「大腿ヘルニア」は大腿神経、大腿動脈、大腿静脈すべての内側に位置。しろうとや経験不足の医師だと、これら3つのヘルニアはすべて同じに見えるため要注意だそうです。

 

「大腿ヘルニア」が鼠径靱帯の頭側に位置したり、鼠径靱帯上に位置することもありますが、そうなると診断はいよいよ困難に…。診察は、咳や腹圧をかけたりしながら立ち位で行うのがベストとされます。

 

鼠径部に膨隆(ぼうりゅう)が認められることが一般的です。「鼠径ヘルニア」は通常、鼡径靱帯(ろうけいじんたい)の上に出現してその下に延長していきますが、「大腿ヘルニア」は「鼠径ヘルニア」の下に出現するのです。

 

「大腿ヘルニア」は中高年の、しかも出産経験者の女性に多いと述べましたが、多くは症状が重くなった「かん頓」の段階になって初めて病院へ行くことがほとんどだといいます。